過敏性腸症候群(IBS)でお困りの方へ
過敏性腸症候群(IBS)でお困りの方へ
そのお腹の不調、もしかしてIBSかもしれません。
下痢や便秘を繰り返す
- お腹の張りが気になる
- 不意にガスが漏れる
- 緊張やストレスがあると腹痛や便意が急に起こる
- 排便すると腹痛が軽減する
- トイレの心配で外出や通勤、通学が不安になる
「急な下痢で外出が怖い」「便秘が続いてお腹が張る」「病院で異常がないと言われたけれど、つらい日々が続いている」
これらはすべて、** 過敏性腸症候群(IBS)**の可能性があります。
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、検査では異常が見つからないにもかかわらず、腸の不調が慢性的に続く疾患です。腸の運動や知覚の異常、自律神経の乱れ、さらにはストレスなどが深く関係しているとされています。
日本ではおよそ7人に1人がこの症状に悩まされており、特に20〜40代の若い世代や女性に多く見られます。命に関わる病気ではありませんが、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことがあります。
たとえば、突発的な便意や不快感で仕事や学業に集中できなかったり、外出や人付き合いを避けがちになったりします。また、下痢やガスの心配から出社や外出が困難になることもあり、その心配が気分の落ち込みや不安、抑うつといった精神的な不調を引き起こし、さらに症状が悪化するという「腸脳相関」が指摘されています。
IBSは外見からは分かりにくいため、本人しか分からない深刻なつらさを抱えている場合があります。
IBSには色々なタイプがあります
下痢型
水っぽい便や柔らかい便が頻繁に出るのが特徴です。
突然、強い便意に襲われることが多く、外出中などは特に不安を感じやすくなります。
また、お腹にガスがたまりやすく、膨満感が出ることもあります。排便後に腹痛がやわらぐことがあります。
便秘型
コロコロとした硬い便が特徴で、排便に時間がかかることがあります。
スッキリ出た感じがしない「残便感」が強く、日頃トイレに長くこもることも多いタイプです。
混合型
下痢と便秘が交互に現れるタイプで、症状が安定せず予測が難しいのが特徴です。
腹痛の出方も人によってさまざまで、日常生活に影響を与えることが少なくありません。
分類不能型
上記のどのタイプにもはっきり当てはまらないケースです。
便の状態や排便のパターンが一定せず、不安定な状態が続きます。
症状の出方や強さは人それぞれで、個人差が大きいのが特徴です。
また、おならが頻繁にでる、膨満感がある、などの場合には「ガス型」と分類されることもあります。
過敏性腸症候群(IBS)の主な原因
IBSの原因は一つに限定されるものではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
以下は、IBSの発症や悪化に関係するとされる主な要素です。
ストレスと自律神経の乱れ
精神的ストレスや生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し、腸の運動や感覚に影響を及ぼすことがあります。
腸の運動異常と内臓知覚過敏
腸の収縮が過剰または鈍くなることで、便秘や下痢が起こりやすくなります。また、通常では感じない腸の動きを不快に感じてしまう「内臓知覚過敏」も、症状の一因とされています。
腸内環境の乱れ
腸内細菌のバランスが崩れると、腸の働きが不安定になり、IBSの症状を引き起こす可能性があります。
脳と腸のつながり(脳腸相関)の過敏性
腸と脳は密接に関係しており、不安やストレスが腸の症状として現れやすいという特徴があります。この「脳腸相関」の過敏性が、IBSの持続に関わっているとされます。
心理的要因
不安感やうつ傾向などの心理状態も、IBSを悪化させる要因と考えられています。
生活の影響
特定の食べ物や過度な食事制限が、腸に負担をかけて症状を誘発することがあります。
感染後IBS
感染性腸炎などの後に腸の機能が低下し、IBSを発症する事があります。
まずは医療機関への受診を
IBS(過敏性腸症候群)かどうかを判断するには、「ローマ基準」と呼ばれる国際的な診断基準が用いられており、現在は「ローマIV基準」が主に使われています。
診断の際には、他の疾患との区別をするために、専門的な検査が行われることがあります。IBSと似た症状を持つ疾患もあるため、まずは内科や消化器内科などの医療機関での診察・検査を受けることが大切です。
IBSの治療法
IBSの治療は、症状やタイプ、体質に応じて個別に行われます。
生活習慣の改善
食生活の見直しや、ストレスの軽減、規則正しい生活リズムを整えることが、治療の基本になります。特定の食材(カフェイン、乳製品、脂っこいものなど)が症状を悪化させる場合は、それらを避けるよう指導されます。
食事療法(低FODMAP食など)
FODMAPとは、腸で発酵しやすい糖質のことです。これらを控える「低FODMAP食」が、IBSの症状緩和に効果があるとされています。
薬物療法
症状に応じて、以下のような薬が処方されることがあります。
- 下痢型:腸の動きを抑える薬、整腸剤
- 便秘型:腸の動きを促す薬、便を柔らかくする薬
- 痛みや不快感:消化管の痙攣を抑える薬、抗うつ薬
心理療法(認知行動療法など)
ストレスや不安が大きく関わっている場合、専門の心理療法が行われることもあります。認知行動療法(CBT)は、IBSの改善に効果があるとされています。
鍼灸によるIBSケア ― 優しく、深く、整える ―
IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸の効果
IBSは、腸の運動異常や知覚過敏、自律神経の乱れ、そしてストレスなどが複雑に関係する疾患です。鍼灸は、「体性-自律神経反射」「体性-内臓反射」という身体が元々持っている反応を使うことで、これらの根本的な要因に働きかける治療法です。
- 自律神経の調整
鍼灸は、自律神経のバランスを整える働きがあり、腸の運動機能や感覚を正常に導く助けになります。副交感神経に作用し、腸のリズムを整えることで、下痢や便秘などの症状の改善が期待されます。
- お腹の緊張を細かく分類して観察し、張りのある場所を選択的にゆるめて、ガスや張りのツラさを軽減します。
- ストレス緩和とリラックス効果
鍼灸には、精神的な緊張を和らげる作用があり、慢性的なストレスによる腸の不調を軽減する効果が期待されます。 - 消化機能の促進
ツボへの刺激により、消化器官の血流や機能を高めることで腸の蠕動運動を整え、排便リズムを回復、腸内環境の改善や胃腸全体の調和を図ります。 - 体質改善による根本治療
IBSは一時的な症状の緩和だけではなく、長期的な体質改善が大です。鍼灸は体全体のバランスを整え、再発を防ぐための基盤を作ります。
当院の施術は、反応点としておなかの緊張を観察します。その結果に基づいて、主に手足や背中のツボを治療点として使います。おなかに直接鍼をすることはありません。痛みも少なく、安心して受けていただけます。
〜 IBSでお悩みの方へ 〜
IBSは、「気のせい」や「甘え」では決してありません。IBSのつらさは、見た目にはわかりにくいため周囲から理解されず、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、あなたのつらさには確かな原因があり、それに向き合い、整えていく方法もあります。
当院では、鍼灸を通じて、自然な回復力を引き出すお手伝いをしています。あなたの毎日が、少しでも穏やかで快適なものになるよう、おなかも心もホッとできる毎日を取り戻せるよう、丁寧にお手伝いします。
どんなに小さなお悩みでも構いません。どうぞ、お気軽にご相談ください。